top of page

NPO法人 ルンタプロジェクトとは

 ルンタプロジェクトの「ルンタ(lung ta)」とは、チベット語で「風(lung)の馬(ta)」。チベットでは、風の馬ルンタが風に乗って空を駆けて仏の教えを広め、願いを天に届けてくれると信じられており、家々の屋上や峠には、ルンタを刷った5色の旗、タルチョが風にはためいている光景がみられます。また、峠などでルンタを刷った5色の小さな紙を空高く撒くこともあります。チベット人たちの切実な思いが天に届きますように、チベットに平和と自由がありますように――ルンタプロジェクトは、そんな願いを込めて名づけられ、1997年に日本人有志によって設立されました。ダラムサラを拠点にするNGOとして、難民支援活動やチベット文化や問題を普及する国際的な活動を行なってきました。

  2015年のネパール大地震を機に、活動拠点をダラムサラからネパールのカトマンズに移し、特定非営利活動法人ルンタプロジェクトとして活動範囲を拡大し、国際支援を続けています。

lungtalogo_new250_edited_edited.png
20161026-_MN_5641_S_edited.jpg

代表:中原一博

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学文学部仏文学科卒業、早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年より2014年までダラムサラで生活し、手掛けた建築は、亡命政府国際関係省庁舎、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校校舎、寄宿舎、寺、ストゥーパ(仏塔)など多数。ネパール大地震後の2015年よりカトマンズに移住し、ネパール国内で多岐にわたる支援活動を行う。特定非営利活動法人ルンタプロジェクト代表。

 著書に『チベットの焼身抗議 (太陽を取り戻すために)』(集広舎)。

20090128-_DSC0252_edited.jpg
これまでの活動内容

1999〜

lungta_house.jpg

ルンタハウスの建設と運営事業

 ルンタプロジェクトは1999年9月、ダラムサラに4階建ての難民自立支援施設「ルンタハウス」を建設。チベットで自由を訴えて投獄された経験をもつチベット人たちによる自助グループ「The Gu-Chu-Sum Movement of Tibet (グチュスムの会)」を現地協力団体として共に運営してきました。

 ルンタハウスでは、チベット本土へ戻ることができない難民を対象とした教育事業・自立支援事業を行い、日本食レストランの「ルンタレストラン」や手工芸工房を運営し、収益と技術研修をかねた事業を行なってきました。またチベット人による印刷物出版やグチュスムの会のメンバーが投獄経験を証言するツアーやキャンペーンなども行いました。

2001〜

DSC00366.JPG

里親教育支援事業

 ルンタプロジェクトではチベット難民孤児や低所得のチベット難民世帯の児童へ学費・養育費の支援を行いました。2015年末までに里親になって下さった方々からお預かりした計968万円を児童53名の教育支援として難民学校や児童の保護者へ届けました。現在は、チベット難民の里親募集は行っておりません。

2006〜

5.jpg

HIV感染予防・エイズケア事業

2006年10月からは、保健衛生事業としてチベット成人難民、中高生を対象としたHIV感染予防・エイズケアに取り組みました。インドにて亡命生活を営むチベット難民は季節労働に従事する割合が多いため、HIV感染の危険が高いグループ(high risk group)に分類されていました。

 2013年の事業終了までにインド全土の難民居住区、学校を対象に161回のワークショップを開催し、約20,000人に対しHIVの感染予防について学ぶ機会を設けたほか、若者を対象としたコンサートやチャリティランを開催し、難民社会へHIVエイズ予防の重要性を広く訴えました。またケアとして、HIV感染者の自助グループを形成し、併せてエイズ患者を対象とした里親支援制度を立ち上げました。

2008〜

Peyu 4.JPG

「チベットNOW@ルンタ」情報発信

2008年3月10日にチベットの古都・ラサで僧侶たちによる抗議デモが始まると、チベット全土に大規模な抗議行動が広まりました。ルンタプロジェクト代表の中原一博は、チベット本土からダラムサラに送られる情報をまとめて、「チベットNOW@ルンタ」のブログサイトを立ち上げ、ブロガーとしてチベット人の非暴力の闘いを連日のように発信しました。翌2009年に焼身抗議が始まってからは全ての焼身者の詳細なリポートを送り続け、情報統制が続くチベットからのわずかな情報を手掛かりに、ネットで情報発信を続けました。

2015〜

2.jpg

ネパール大地震緊急・復興支援

 2015年4月25日にネパールで発生したマグニチュード7.8の大地震は死者約9,000人、負傷者約21,000人と甚大な被害をもたらしました。ルンタプロジェクトでは、被災者の中でも特に社会的に周辺化されている、チベット難民の被災者支援、人身売買被害者及びHIV陽性者/AIDS患者たちを対象にした緊急支援を行いました。

 中でもチベット仏教を信仰するチベット系民族が暮らし、「世界で最も美しい谷」と呼ばれるランタン谷で被災者支援を行い、故郷の再建・復興のために立ち上げたLangtang Disaster Relief Fundや、女性たちの現金収入につながるよう避難先のテントでも使用可能な小型織機の購入費等を支援しました。

2015〜

4.jpg

ランタン復興支援&自立支援

 ランタン谷とランタン周辺地域における地震によって全壊した公共建物の設計を行い、モデルとなる耐震の住居兼ゲストハウスを設計しました。また、ブルディム村で全壊した寺の再建を支援しました。

 またランタン&チベット難民女性のための自立支援を行いました。これは震災によって女性たちが収入を断たれたうえ、復旧まで時間を要することから、新たな収入源の確保が求められていました。チベット難民およびランタンの被災女性に機織り技能を習得させ、製作した商品を販売するシステム「ルンタWEBSHOP」を立ち上げ、仕事を発注することで、被災した女性たちの自立を支援しました。

2016〜

75247439_441571220100352_1280788376135401472_n.jpeg

人身売買被害女性自立支援及びレスキュー事業

 ネパールにおける人身売買は深刻であり、ユニセフによれば年間約7,000人のネパール人女性がインドの娼婦街を中心に売られています。震災を受けて事態はさらに深刻化しており、被災した家庭の少女が貧困のために売られたり、騙されて連れていかれたりするケースが急増していることが報告されています。

 ルンタプロジェクトは「J.S.Foundation」の全面的支援を受け、サバイバー自身が立ち上げたNGO「シャクティ・サムハ」を現地カウンターパートとして、2016年7月より人身売買被害者を主にインドの娼婦街から救い出すレスキュー活動と救い出された女性たちに職業訓練の機会を与え、自立を支援する活動を行いました。事業開始から2017年末までの1年半の間に被害者34名を救出し、2023年現在までに被害者100名以上を救出しました。救出された女性たちは、ネパール国内のシェルター施設へ送り届け、施設での職業訓練において自立と社会復帰を目的とした訓練を実践しています。

2019〜

IMG_9080.jpeg

HIV/AIDS学童への教育費支援事業

ルンタプロジェクトはJ・S  Foundation様からの全面的支援を得て、「ネパールのHIV/AIDS学童への教育費支援事業」を2019年より開始しました。現地のHIV/AIDS女性と子供支援団体である『シャクティミランサマージュ』を通じて実施しています。

 ネパールにはHIV陽性者の子供が数千人います。多くの子供たちが家族や社会からの支援や理解を得られず、学校に行けないままです。少しでも多くの助けを必要とする子供たちに、大切な教育の機会を与えたいとの願いから、公立学校へ通う場合に最低限必要な費用を支援するために、この事業を始めました。

2020〜

IMG_0544.jpeg

HIV/AIDS女性と子供のための自立施設

 人身売買による感染被害者やHIV を発症した同じ境遇の人たちが、心身を休めて暮らす自立支援施設の「バネパ HIV子供シェルター」を建設するために、現地団体シャクティ・ミラン・サマージュと連携して建設プロジェクトを進めてきました。首都カトマンズ近郊に建設用地を購入し、クラウドファンディングを行い、2020年に新シェルターが完成しました。最初は入居者6人の共同生活からスタートし、2024年現在は11名の子供たちが近所の学校に通っています。

 開所後の3年間は、ルン タが運営面でも全面的に支援します。自立に向けて園 芸に励み、収入を得るため のビジネスへと成長させま す。シェルターの庭も、や がては販売用の花や観葉植物でいっぱいになることで しょう。

2020〜

119487917_261503664920677_4658405809723189758_n.jpg

新型コロナウイルス感染症 緊急食糧支援活動

  新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、ネパールでも断続的に都市を封鎖するロックダウンが実施されました。経済を優先させるために一時的に規制緩和されましたが、感染者数は増加の一途をたどりました。経済活動は停滞し、職を失い、貯蓄もなく食料を得ることができない生活困窮者が、ネパール国内で数百万人に達しました。ルンタプロジェクトでは、生活困窮者のなかでも生命の危機に瀕した最も困難な生活状況にある人びとを対象に、各回1ヶ月分の緊急食糧支援を4度にわたり実施しました。主な対象者は、HIV陽性者世帯、人身売買サバイバー世帯、児童労働者、母子家庭、失業者、身体障害者施設などです。

2021〜

IMG_7019_edited.jpg

身体障害者施設への支援

タラケシュワール身体障害者施設の支援は、コロナ時に食糧品の緊急支援を行なったことから始まりました。2024年現在は32人の車椅子の障害者たちが暮らしています。ここでは同じ境遇の人が集まりフェルト製品を作り、露店で商品を販売して、わずかな売り上げをもとに自活しています。ロックダウン時収入が絶たれてその日の食糧にも困っていました。そのため施設に4度の食糧支援を行い、その他補助輪付きスクーターや車椅子、布団や医療費支援など断続的に支援を行なっています。またルンタWEBショップで、入居者が手作りするヤクやネパール犬などのフェルト製品の国内販売もスタートしました。

bottom of page